この記事を読んでいるあなたは、
- ボラティリティって何?
- ボラティリティの高い、低いってどういうこと?
- ボラティリティとオプションの関係は?
上記のように考えているかもしれません。
今回はそんなあなたに向けて、世界一わかりやすくボラティリティについて解説していきます。
ボラティリティとは
「IT系の銘柄はボラティリティが高い」、「海運株はボラティリティが低い」、などと言われたりします。
これは全くの間違いです。
正確に理解している人が驚くほど少ないのが、ボラティリティという概念です。
ボラティリティの低い・高い
まず、次の銘柄A、B、Cを御覧ください。5日間の動きは次の表のとおりです。
銘柄 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
A | 10000 | 10000 | 10000 | 10000 | 10000 |
B | 10000 | 8000 | 6400 | 5120 | 4096 |
C | 10000 | 10010 | 9990 | 9980 | 10000 |
一番多い回答は、直観で判断してAです。
次の質問です。
一番多い回答は、直観で判断してBです。
あなたはどう思いますか?
実は、直観による回答は、どちらも不正解です。
- Aのボラティリティはいくらでしょうか?
毎日株価が動いていませんので、ボラティリティはゼロです。
これは誰にでもわかります。
- Bのボラティリティはいくらでしょうか?
10でしょうか、20でしょうか。
違います。
実は、こちらも、ゼロです。
- Cのボラティリティはいくらでしょうか?
正解は、2.53%です。
ボラティリティの計算方法
さきほどの3つの銘柄と値動きを再度見てみましょう。
銘柄 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
A | 10000 | 10000 | 10000 | 10000 | 10000 |
B | 10000 | 8000 | 6400 | 5120 | 4096 |
C | 10000 | 10010 | 9990 | 9980 | 10000 |
一見すると、Bが一番大きな動きをしているように見えます。
しかし、毎日の価格の変化率を見るとどうでしょうか?
計算すると、次のようになります。
銘柄 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
A (変化率) | 10000 (0%) | 10000 (0%) | 10000 (0%) | 10000 (0%) | 10000 (0%) |
B (変化率) | 10000 (0%) | 8000 (▲20%) | 6400 (▲20%) | 5120 (▲20%) | 4096 (▲20%) |
C (変化率) | 10000 (0%) | 10010 (0.1%) | 9990 (▲0.2%) | 9980 (▲0.1%) | 10000 (0.2%) |
AとBは、変化率自体が一定なのに対し、Cは、変化率がバラバラです。
Aの翌日の変化率は0%、
Bの翌日の変化率は▲20%と予想できそうなのに対し、
Cの翌日の変化率は、0.2%になりそうな一方、▲0.2%にもなりそうで、予想しづらいです。
ボラティリティは、毎日の株価を表した、以下の表からではなく、
銘柄 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
A | 10000 | 10000 | 10000 | 10000 | 10000 |
B | 10000 | 8000 | 6400 | 5120 | 4096 |
C | 10000 | 10010 | 9990 | 9980 | 10000 |
変化率を並べた、以下の表から求めるのです。
銘柄 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
A (変化率) | 10000 (0%) | 10000 (0%) | 10000 (0%) | 10000 (0%) | 10000 (0%) |
B (変化率) | 10000 (0%) | 8000 (▲20%) | 6400 (▲20%) | 5120 (▲20%) | 4096 (▲20%) |
C (変化率) | 10000 (0%) | 10010 (0.1%) | 9990 (▲0.2%) | 9980 (▲0.1%) | 10000 (0.2%) |
この表に書き出された、変化率のバラつきを表した数値こそがボラティリティなのです。
つまり、ボラティリティが低い銘柄とは、毎日の株価の変化率のバラつきが小さい、
つまり、全く動かないか、上か下に一定の比率で単調に動いている銘柄をさします。
一方、ボラティリティが高い銘柄とは、毎日の株価の変化率のバラつきが大きい、
つまり、上と下にランダムに動いたり、一方向に動くにしても、
上がり方や下がり方がどんどんきつくなっていく銘柄をさします。
つまり、「値動きの変化率のバラつきが大きく、値動きの予想が困難な銘柄」が、
ボラティリティが高い銘柄といえるわけです。
同じ銘柄でも、値動きの変化率のバラつきが大きい時期と小さい時期があり、ボラティリティは上下します。
具体的なボラティリティチャート
NVIDIAの次のチャートを御覧ください。
ろうそく足チャートでは、2024年1月4日から急激な勢いで株が上昇しています。
直観的には、ボラティリティも急上昇しそうです。
実際はどうだったのでしょうか。
下の黄色いチャートが、過去10日間の株価変化率から求めたボラティリティです。
意外にも、この期間ではさほど上昇していません。
上昇が一本調子で単調だったからです。
むしろ、それ以前のレンジ相場の頃の方が、ボラティリティが高いですね。
上昇するのか下がるのか、一貫した傾向が乏しかったからだと解釈できます。
日経225CFDの次のチャートも御覧ください。
コロナショックの場面です。
2020年2月からの暴落は、下げ幅がぐんぐん急拡大しているため、ボラティリティも急騰しています。
底から急反発した瞬間が、ボラティリティの最高値となりました。
一方、3月24日を境に、それ以降の株価の回復は、単調な右肩上がりとなったため、
ボラティリティは急落しています。
コロナショックから株価が右肩上がりに回復するなんて、
ほとんどの人が予想できませんでしたが、
回復の仕方は単調だったので、ボラティリティは急落していったのです。
オプション取引とボラティリティ
以上、ボラティリティの基本について解説しました。
ボラティリティの本質は、「値動きの大きさ」ではない、ということがご理解いただけたかと思います。
ボラティリティの本質は、「価格変動率のバラつきの大きさ」、
つまり、将来株価の「予想しずらさ」にある、ということがご理解いただけたかと思います。
ボラティリティは、オプション価格に大きな影響を与えますから、オプション取引を行っていく上では必須の知識となります。
数学的な知識よりも、直観的な理解を大切にして、トレードに臨んでください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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