米国株オプションの教科書

この記事を読んでいるあなたは、

  • 米国株オプション取引って何?
  • オプション取引のメリットとリスクは?
  • おすすめの証券会社は?実際の取引はどうやるの?

上記のように考えているかもしれません。

今回は、そんなあなたに向けて「米国株オプション取引とは何か、米国株オプション取引のやり方、おすすめ証券会社」など、米国株オプション取引を実行するための必須知識を、わかりやすく解説していきます。

「米国株のオプション」と聞いてピンとくる人は少ないかもしれませんが、米国ではプロの投資家から一般投資家まで幅広く利用されているメジャーな投資手法です。

日本とは比較にならないほど種類も多く、流動性も非常に高いため、米国株オプションに挑戦してみるメリットは多いですので是非活用してみるべきです。

この記事では、基本となる知識をお伝えした上で、証券口座を開設し、米国株オプションを実際に取引するところまで、ご案内します。ぜひ、最後までお付き合いください。

オプション取引とは?

引用:外為どっとコム

オプション取引が分からない人向けにまずは簡単にオプション取引について説明します。

知っている方は読み飛ばしてください。

オプション取引とは、「①あらかじめ定められた期日(満期日)までに ②ある商品(原資産)を ③あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で ④売買できる権利」を売買することをいいます。

具体的に考えてみましょう。

【テスラ株、現在株価:200ドル】
①来月末までに
②テスラ株を

③200ドルで
④買う権利(10ドル)
この買う権利を購入する。

このテスラ株の例は、「コールの買い」というオプション取引方法です。

コールの買いとは、”買う権利を買う”ことです。

この例の場合、今200ドルのテスラ株を来月末に同じ価格の200ドルのまま購入できる権利を買うという取引です。

【来月末に250ドルまで上昇していた場合】
200ドルで買う権利を行使し200ドルで買い、そのまま250ドルで売却すれば50ドルの利益となります
買う権利の購入費用10ドルを引いて純利益は40ドル。
【来月末に150ドルまで下落していた場合】
150ドルに下落しているときに200ドルで買っても損をするだけなので、買う権利を放棄します。
この場合、買う権利の購入費用の10ドルが損失となります。

オプション取引には、コールの買いを含め以下の4つの取引方法があります。

  • コールの買い
  • コールの売り
  • プットの買い
  • プットの売り

この4つの取引を組み合わせることで、様々なオプション戦略を組み立てることができます。

オプション取引のメリットとリスク

オプション取引に共通する魅力とメリットを解説します。

買い手の損失は限定されている

画像引用:日本証券所グループ

株価が上昇すると見込んでコールを買い、予想が外れた場合でも損失は支払ったプレミアムの額に限定できます。

、実際に株価が上昇した場合の利益は理論上無限大です。

つまり、オプションの買いでは、損失を限定しつつ利益を最大化する取引ができます。

買い手はレバレッジをかけることが可能

オプションの買い手はプレミアムの金額だけで取引できます。

そのため、現物であれば大金が必要な取引でも、オプション取引であれば買い手はプレミアムの金額だけで現物と同様の取引が可能です。

売り手はプレミアムを受け取れるが、リスクは無限大

オプションの売り手は、買い手に、コールオプションまたはプットオプションを譲渡する対価として「プレミアム」を受け取ることができます。

ただし、予想外に原資産が変動した場合の損失は理論上無限大なので注意が必要です。

ですから、初心者は、オプションを単体で売る、ということはしません。

現物株の取引きとオプションの売りを組み合わせることで、プレミアムを受け取りつつ、損失を限定していきます。

米国株オプションとは?

米国の証券オプションは、アメリカ国内の証券取引所で取引されるオプションのことを指します。

米国のオプション市場は非常に活発で、世界最大の証券オプション市場です。

日本のオプション市場では「日経225オプション」以外はほとんど取引されていません。しかし、米国のオプション市場でSPY(S&P500のETF)などの指数オプションに加えてアップルやテスラといった個別銘柄のオプションの取引も活発です。

世界のデリバティブ市場規模 (引用:日本取引所グループ)

この図は、世界のデリバティブの市場規模を表したものです。デリバティブなので全てがオプションではありませんが、日本の市場規模とアメリカの市場規模の違いは感じていただけると思います。

米国株オプションの制度概要

取引時間(日本時間)通常:23時半~翌6時
夏:22時半~翌5時
権利行使タイミング株式:アメリカンタイプ(いつでも権利行使可)
指数:ヨーロピアンタイプ(満期日のみ権利行使可)
満期当月と翌月。これに加えて3か月ごとに満期が設定されている場合が多い。
取引単位100株(枚)単位
権利行使価格0.5~5ポイント幅
オプションプレミアム3ドル以下:0.01刻み
3ドル超:0.05刻み
決済方法期中の売買。満駅前の権利行使。満期での自動権利行使。満期権利消滅。※指数は現金決済

取引時間

通常時間:23:30~翌6:00

サマータイム:22:30~翌5:00
※3月第2日曜日~11月第1日曜日

権利行使のタイミング

株式:アメリカンタイプ
指数:ヨーロピアンタイプ

アメリカンタイプは、いつでも権利行使可能なタイプで、ヨーロピアンタイプは満期日にのみ権利行使が可能です。

アメリカンタイプでは、オプションの売りの場合、いつでも権利行使をされる(割当)可能性があります。

米国株オプションの取引単位

株式オプション1枚あたり株式100株相当です。

満期日

【株式オプションの満期日】

Monthlyもの:第3金曜日の引け
Weeklyもの:毎週金曜日の引け

人気があるETF(S&P500に連動するSPYなど)のオプションは月曜日~金曜日毎日満期が設定されています。

権利行使価格

銘柄によりますが、一般的には0.5~1ポイント幅から設定され、値がさ株は2.5幅~5ポイント幅となります。

プレミアムの刻み

3ドルまで:0.01刻み
3ドルを超えると0.05刻み

※銘柄によって異なります。上記は一般的な場合。

ただし、流動性の高いETFはプレミアムが0.01刻みで設定されることもあります。

決済方法

米国株オプションの決済方法は4つあります。

  1. 期中での売買
  2. 満期前権利行使による売買
  3. 満期自動権利行使による売買
  4. 満期権利消滅

米国株オプション取引ができる証券会社

米国株オプション取引が可能な証券会社は、moomoo(ムームー)証券、ウィブル証券、サクソバンク証券、IB証券の4社です。

証券会社名特徴公式HP

ウィブル証券
  • 操作性重視
  • Trading Viewとの連携
  • 高度なチャート機能
ウィブル証券公式
moomoo証券moomoo証券
  • コスパ重視
  • 手数料が業界最安水準
  • 豊富な分析ツール&キャンペーン
moomoo証券公式

サクソバンク証券
  • 経験者向き
  • 複雑なオプション戦略を、1クリックで組める
  • 円口座でも米ドル口座でも取引可能
サクソバンク証券公式

IB証券
  • プロ仕様
  • 超高度な取引ツール
  • API利用や自動売買が可能
IB証券公式

この記事を読んでくださっている方は、オプション取引をこれからやってみよう、という方だと思います。そうなると、選択肢は、基本的に、ウィブル証券とmoomoo証券に限られます。

どちらの証券会社アプリも使いやすいので、迷ってしまいますが、主観的な感想ではなく、客観的な指標=手数料に注目して両社を比較してみます。

手数料ウィブル証券moomoo証券
為替手数料15銭/ドル完全無料/ドル
オプション取引手数料0.6ドル/枚0.33ドル/枚
現物株取引手数料0.2%(上限20ドル)0.132%

(上限20ドル、NISAなら完全無料)

為替手数料

米国株オプション取引を始めるには、証券会社で口座を開設し、通常、日本円を入金します。

次に、日本円をドルに換金します。この時、通常の為替レートに、証券会社の為替手数料分が加減されます(1ドル150円、為替手数料が10銭の場合、円→ドルなら1ドル150.1円、ドル→円なら1ドル149.9円として換算される)。

moomoo証券は、この為替手数料が完全無料です。

オプション取引手数料

ドルに換金したら、ようやく米国株オプションを買い付けすることができます。

この際、オプション1枚ごとにオプション取引手数料がかかります。

moomoo証券の手数料はウィブル証券の約半額です。

現物株取引手数料

オプション取引に現物株取引を組み合わせることで、キャッシュセキュアドプットやカバードコールなど、魅力的な戦略を取ることができます。

そこで、米国株オプションをはじめるにあたっては、現物株取引手数料も重要となってきます。

手数料は、約定代金×手数料率で計算されます。

こちらも、moomoo証券の方が4割ほど安いですし、NISAなら完全無料です。

ちなみに、どちらの証券会社にも、上限20ドルが設定されています。

以上を総合的に考えると、コスパ重視で手軽に始めてみるなら、moomoo証券がおススメです!

米国株オプション取引の始め方

①証券会社を決めて口座開設

初めに口座開設をしたい米国株オプションの証券会社の公式サイトにアクセスし、口座開設の申請をします。

いきなり、オプション口座は開設できないので、まずは各証券会社の口座を開設します。

moomoo証券の場合は、こちらからどうぞ。
moomoo証券

②口座開設手続き

次に、口座開設申請フォームに住所、氏名、生年月日などの個人情報を入力します。

マイナンバーカードや運転免許証などの顔写真付きの身分証明書をスマートフォンで撮影し、そのデータをアップロードして本人確認書類を提出します。

審査完了後、通常、数日でメールと封書が届きます。

封書にIDとパスワードが記載されているので、それを使用して取引ツールなどにログインできます。

moomoo証券の場合、全てオンラインで完結することができ、特定・一般口座の場合、最短2時間で口座開設できてしまいます。

③オプション口座の申請

別途、オプション口座の開設申請をする必要があるので、オプション口座開設申請をしましょう。

しかし、年収や資産額、投資経験によってはオプション口座が開設できないことがあるので注意してください。

入金が終わればいよいよオプション取引ができます!

moomoo証券の場合、この手続きはアプリ内で完結し、最短2分で審査も終了します。

オプション取引の実際(基本4戦略)

ここまでお疲れ様でした。

ここからが本番です。

実際にオプション取引を行い、利益を出していきましょう!

オプション取引の実際のやり方について、moomoo証券の画面を使って解説していきます。

オプション取引は、上級者になると、金融工学を駆使して多彩な戦略を採用していきます。

大抵の解説書は、そこに踏み込んでいくため、初心者は挫折してしまいます。

しかし、こと初心者の視点からすれば、オプション取引にそれほど複雑な知識は必要ありません。

もし、それほど複雑な知識が必要なら、アメリカで普通の個人投資家にオプション取引が普及するはずがないと思いませんか?

また、ハイリスクというイメージのあるオプション取引ですが、それは初心者向けではない戦略を取った場合です。

しっかりと初心者向けの戦略を採用した場合、むしろ、通常の現物株取引よりもリスクを下げることが可能となります。

初心者にとって一番重要なのは、ハイリスクなものや高度なものを排除し、直観でも理解できる初心者向けのシンプルなものに戦略を絞ることです。

これさえ徹底すれば、恐れることなく、最初の一歩を踏み出すことができます。

準備はよろしいですか?

それでは、戦略の話に進みます。

初心者が使うべき戦略は、次の4つです。

  • コール買い
  • プット買い
  • カバードコール(現物株担保コール売り)
  • キャッシュセキュアドプット(現金担保プット売り)

この基本4戦略を学ぶだけでも、現物株だけのやり方と比べ、投資の可能性をぐっと広げることができます。

ちなみに、基本4戦略には、コールやプット単体での売りは入っていません。単体売りは、戦略としてはシンプルですが、損失無限大でリスクが高すぎるため、基本とは言えず、最初に行うべきではないからです。

それでは、基本4戦略について、さらに詳しく見ていきましょう。

コール買い

コールの買いは、損失限定で、レバレッジをかけて値上がり益を狙う戦略となります。

具体的に見てみます。

2025年8月26日現在、NVIDIA株は179.810ドルですが、1か月後満期のコールオプションは、次のような画面で取引されています。

権利行使価格185ドルのコールオプション価格は7.15ドルです(買い気配と売り気配の平均)。

このコールオプションの買いは、次のように要約できます。

【NVIDIA株、現在株価:179.81ドル】
①1か月後までに
②NVIDIA株1株を

③185ドルで
④買う権利(7.15ドル)
この買う権利を購入する。

満期における損益は次のようになります。

損益分岐点は192.15ドルです。グラフが右側は右上がりの直線、左側は平行線になっていることに注目してください。

値上がりに対しては利益無限大、値下がりに対しては損失限定になっていることが分かりますね。

NVIDIAの株価が満期に192.15ドルを超えた場合

利益が出ます。

オプションは100株単位となるので、NVIDIA株が192.15ドルを超えた金額の100倍が利益となります。利益にレバレッジがかかります。

超えなかった場合

オプションが無価値となります。つまり、オプション代金7.15ドル×100枚=715ドルが損失となります。仮にNVIDIA株が0円になったとしても、損失はこの715ドルで限定されます。

このように、コールの買いは、損失を限定しつつ、レバレッジをかけて値上がり益を取りに行く戦略なのです。

コールの買いは、重大なイベントを控えており、現物株を購入するのが危険な場面や、値嵩株の値上がり益を取りたいけれども、現物株を購入するほどの資金がない場合に、非常に有効な戦略といえます。

プット買い

プットの買いは、保有している現物株に対して、下落に備えた保険をかける戦略です。

具体的に見てみます。

2025年8月26日現在、TSLA株は346.600ドルですが、1か月後満期、権利行使価格310ドルのプットオプション価格は5.475ドルです。

このプットオプションの買いは、次のように要約できます。

【TSLA株、現在株価:346.6ドル】
①1か月後までに
②TSLA株1株を

③310ドルで
④売る権利(5.475ドル)
この買う権利を購入する。

満期における損益は次のようになります。

損益分岐点は304.525ドルです。グラフが左側は左上がりの直線、右側は平行線になっていることに注目してください。

値下がりに対しては利益無限大、値上がりに対しては損失限定となっていますね。

TSLAの株価が満期に304.525ドルを下回った場合

利益が出ます。オプションは100株単位となるので、TSLA株が304.525ドルを下回った金額の100倍が利益となります。値下がり額にレバレッジがかかっています。

下回らなかった場合

オプションが無価値となります。つまり、オプション代金5.475ドル×100枚=547.5ドルが損失となります。仮にNVIDIA株がどれだけ上がったとしても、損失はこの547.5ドルで限定されます。

このように、プットの買いは、損失を限定しつつ、レバレッジをかけて暴落時に値下がり益=保険料を取りに行く戦略なのです。

ここでは、満期までプットを保有する前提でお話しましたが、実際には、暴落が起きた直後に決済して利益を確定してしまうことが多いので、注意してください。

プットの買いは、重大なイベントを控えており、保有株が暴落するのに備えたい場合に、非常に有効な戦略といえます。

カバードコール

カバードコールは、株を持っていてコールを売る戦略です。

コールの権利行使価格(ターゲット)で株を売ることになるため、ターゲットセリングとも言われます。

普通に指値を入れて株を売って利益確定するよりも、有利に株を売ることができる戦略です。

ちょっと有利な指値売り、とイメージしてみてください。

具体的に見た方が分かりやすいので、実際のマーケットを見てみましょう。

moomoo証券では、簡単にカバードコールのポジションを構築することができます。

オプション売り→カバードコールの画面に進みます。

ここでは、「SOXL 250926 28.00C」という銘柄を取り上げます。

「SOXL」は、半導体のブル3倍ETFで、2025年8月26日現在の価格は27.94ドルです。

「250926」というのは、2025年9月26日が満期という意味です。

「28.00C」というのは、権利行使価格が28ドルのコールオプション、という意味です。このコールの現在価格は2.685ドルです。

カバードコールは、現物株を用意して、コールオプションを売る、という戦略でした。

権利行使価格28ドルのプットオプションを売ると、株価が上昇して権利行使された場合、28ドルでSOXL株を売る義務が生じます。

コールオプションは100株単位なので、28ドル×100株=2800ドルでSOXL100株を売る義務が生じるということです。

コールが行使された時に株を売るためには、現物SOXLを100株買っておかなければなりません。

取引画面をご覧ください。

確かに、SOXL現物100株の買い注文と、コール(SOXL CALL)1枚の売り注文がセットで入っています。

もう1点注目していただきたいのが、必要証拠金が0USDになっていることです。

通常、コールやプットを売る場合、証拠金が必要となります。

しかし、今回は、コールを売っていますが、同時に現物株を購入しています。

コールが権利行使されても、引き渡せるだけの現物株を保有するため、不履行リスクがないから、証拠金が不要なのです。

まとめると、「SOXL 250926 28.00C」カバードコールは、

【SOXL、現在株価:27.94ドル】
①1か月後までに
②SOXL株1株を

③28ドルで
④売る義務(2.685ドル)
この売る義務を売却する
SOXL株を現在株価27.94ドルで100株購入する

という2つの取引を同時に行うことになります。

27.94ドルで取得したSOXLに対して、28ドルで売指値を入れた場合(=利益確定)と似ています。

しかし、大きく違うのは、コールの売りを入れているということです。

コールの価値分だけのプレミアムを受け取ることができます。

今回のケースだと、268.5ドルのプレミアムを受け取ることができます。

これは重大なことです。

つまり、指値を入れて待っているだけだと、約定するまで現物株を寝かせるだけになってしまいますが、コールを売っておけば、現物株を寝かせた分だけ、あたかも配当のようにプレミアムを受け取ることができるのです。

実際にSOXLが28ドルを超えた場合

2800ドルで100株を売却(=利益確定)することになりますが、プレミアム268.5ドルは受け取ったままにできるのです。

結局、2800ドル(売却価格)ー2794ドル(取得価格)+268.5ドル(プレミアム)=274.5ドルの利益を出すことができます。

売り指値を入れただけだったなら、たった6ドルの利益だったのが、なんと、カバードコールを使っただけで274.5ドルに増えています。

実際にSOXLが28ドルまで上昇しなかった場合

この場合、コールは権利行使されません。

つまり、SOXLを売って利益確定することはできませんが、プレミアムだけは受け取ったままにできます。

指値を入れて約定しないまま時間が過ぎてしまった場合と比べ、プレミアム分だけ有利に運用できたことになります。

次の損益分析をご覧ください。

損益分岐点は、25.255ドルとなっています。

株価がここまで下落した場合、

2525.5ドル(現在価格)ー2794ドル(取得価格)+268.5ドル(プレミアム)=0

となり、プラスマイナスゼロとなります。

もし、カバードコールがなければ、268.5ドルの含み損が出ていたはずですから、相当なカバーになっています。

キャッシュセキュアードプット

キャッシュセキュアードプットは、株を買う現金を用意してプットを売る戦略です。

プットの権利行使価格(ターゲット)で株を買うことになるため、ターゲットバイイングとも言います。

普通に指値を入れて株を買うよりも、有利に株を買うことができる戦略です。

ちょっと有利な指値買い、とイメージしてみてください。

具体的に見た方が分かりやすいので、実際のマーケットを見てみましょう。

moomoo証券では、簡単にキャッシュセキュアードプットのポジションを構築することができます。

オプション売り→キャッシュセキュアードプットの画面に進みます。

ここでは、「ETHA 250926 33.00P」という銘柄を取り上げます。

「ETHA」は、イーサリアムのETFで、2025年8月25日現在の価格は33.13ドルです。

「250926」というのは、2025年9月26日が満期という意味です。

「33.00P」というのは、権利行使価格が33ドルのプットオプション、という意味です。このプットの現在価格は2.185ドルです。

キャッシュセキュアードプットは、株を買う代金を用意して、プットオプションを売る、という戦略でした。

権利行使価格33ドルのプットオプションを売ると、株価が下落して権利行使された場合、33ドルでETHA株を買う義務が生じます。

プットオプションは100株単位なので、33ドル×100株=3300ドルでETHA100株を買う義務が生じるということです。

株を買う代金を用意するためには、3300ドルの現金を用意しておかなければなりません。

取引の際の必要証拠金は、3300USDとなります。

まとめると、「ETHA 250926 33.00P」キャッシュセキュアードプットは、

【ETHA、現在株価:33.13ドル】
①1か月後までに
②ETHA株1株を

③33ドルで
④買う義務(2.185ドル)                           この買う義務を売却する。
ETHA株100株を33ドルで買える現金を保管

という2つのことを行うことになります。

現在33.13ドルのETHAに対して、33ドルで買い指値を入れた場合と似ています。

しかし、大きく違うのは、プットの売りを入れているということです。

プットの価値分だけのプレミアムを受け取ることができます。

今回のケースだと、218.5ドルのプレミアムを受け取ることができます。

これは重大なことです。

つまり、指値を入れて待っているだけだと、約定するまで株の購入資金を寝かせるだけになってしまいますが、プットを売っておけば、購入資金を寝かせた分だけ、あたかも利息のようにプレミアムを受け取ることができるのです。

実際にETHAが33ドルまで下落した場合

3300ドルで100株を購入することになりますが、プレミアム218.5ドルは受け取ったままにできるのです。

結局、3300ドルー218.5ドル=3081.5ドルで100株を購入できたことになります。

1株当たり、30.815ドルですね。

次の損益分析をご覧ください。

損益分岐点は、30.815ドルとなっており、権利行使された場合の実質的な1株当たりの購入代金と一致しています。

もし、満期にETHAが30.815ドルを割った場合、どうなるでしょうか。

満期にETHAが30.815ドルを割っているのに、1株当たり33ドルで購入しなければなりません。

差額として2.85ドル以上の損失が出ます。

これで、受け取ったプレミアム2.85ドルは打ち消され、損失が出てしまいます。

しかし、この場合でも、33ドルで単純に指値を入れていた場合より、プレミアム分だけ損失がカバーされていることになります。

実際にETHAが33ドルまで下落しなかった場合

この場合、プットは権利行使されません。

つまり、ETHAを買うことはできませんが、プレミアムだけは受け取ったままにできます。

指値を入れて約定しないまま時間が過ぎてしまった場合と比べ、プレミアム分だけ有利に取引できたことになります。

まとめ

今回は、米国株オプション取引について、最初の一歩を踏み出すために必要な知識を徹底的に解説しました。

日本とは違いオプション市場が活発な米国のオプションにもぜひ挑戦してみてください。

この記事が参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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